発酵食品の
謎と可能性
〜微生物から生まれる「Enzamin」とは〜
私たちの国には、たくさんの発酵食品が存在しています。そんな日本は、世界でも有数の「発酵大国」です。
今回は、その秘密を探り、日本人の創み出した発酵有用成分 「Enzamin」 の可能性に迫ります。

日本人はなぜ納豆を食べる?

発酵食品は、どの文化圏でも、アルコール(お酒)に始まり、味噌や醤油などの調味料として普及します。一般的に「発酵」とは、微生物の働きによって、人間に有益な作用を生む化学反応のことです。これに対し、人間にとって不利益な作用となる場合は、「腐敗」と呼ばれます。やや乱暴に言えば、発酵と腐敗は同じ現象を指すものであり、要は、人にとって有利か不利かで主観的に判断されるのです。
たとえば、独特な風味をもつ納豆。強烈な臭いが苦手な方もいらっしゃるでしょう。健康に良く、保存性に優れることから、古来より重宝されてきました。一説によれば、平安時代末期の武将・源義家が、納豆の誕生に関与したとされています。義家は「八幡太郎」と称し、武門の棟梁として名を馳せた人物です。彼が奥州合戦に臨む際、煮豆を稲の藁に包み馬にぶら下げていたところ、馬の体温で発酵が進み、納豆になったという逸話が残されています。納豆を発酵させた菌の正体は、稲藁にいる枯草菌の一種。今日では「納豆菌」と呼ばれています。煮豆中のタンパク質や糖質を栄養源に納豆菌が繁殖し、あの特有の糸を引く状態になります。納豆には、アミノ酸をはじめとする多数の栄養素が含まれ、消化に優れる発酵食品です。その後の納豆は、義家の知名度も手伝って、武士の世にジワジワと広がっていきました。武士の強靭な体も、発酵した豆のタンパク源があったからこその賜物と言えるかもしれません。
さて、この発酵食品は、微生物を活用した食品です。もともと私たち生物の体は、腸内にもたくさんの細菌を住み着かせ、消化吸収の役割を託しています。納豆菌は、腸内で行われるはずだった分解作業の一部を、体の外で行ったものと理解すればいいでしょう。そのおかげで、栄養素が腸に届いたときには、消化吸収しやすくなっている、というわけです。しかも納豆菌が先に繁殖すると、他の菌を寄せ付けなくなるので、結果的に腐敗を防ぎ、長期保存を可能にする点でも大きなメリットです。

発酵食品は微生物を活用した食品で、栄養素が腸に届いたときは消化吸収しやすくなっている。
日本の伝統に貢献

多湿の日本では、麹菌や乳酸菌の生育に適しており、伝統的な発酵技術を育んできました。
日本人は、こうして納豆を重宝するようになり、江戸時代の末期には、「からすの鳴かぬ日はあれど、納豆売りの来ぬ日はなし」と言われるほど民衆の間に普及しました。長らく、油や火を使った料理が少なかった日本人にとって、発酵食品は栄養素を補う重要な食品でした。
現代では、発酵食品に関する研究、すなわち微生物研究が盛んに行われています。微生物の数は非常に多く、人の腸内だけで1000種類を越えると言われます。有望な菌を探す試みは、まるで広大な宇宙から星を探すような気の遠くなる作業です。むしろ、個々の菌との出会いを大事にすべきかもしれません。
日本の食文化にとって欠かせないのは、麹菌や乳酸菌です。麹菌はカビの一種で、糸状の構造を持ち、味噌、醤油、みりん、米酢、甘酒、日本酒、焼酎、漬け物など、日本の伝統的な発酵調味料の製造に広く利用されています。他方、乳酸菌も、ヨーグルトやチーズの代名詞のようになっていますが、日本では伝統的な漬物製造に活躍します。その乳酸菌は、塩分が多く、酸素の乏しい、そして低温という過酷な環境で、優位性に働くことができます。いずれにしても、多湿の日本は、麹菌や乳酸菌にとって生育に適した環境であり、長い歳月をかけ、伝統的な発酵技術を育んできました。
「カルピス」という発明

カルピスは、日本の近代が産み出した、代表的な発酵飲料です。「カル」という名は、当時の日本人に不足していたカルシウムを補う意図が込められています。そもそも、カルピスが登場した頃の日本は、昭和初期で、日本人には牛乳を飲む習慣がありませんでした。
カルピスは保存に優れる濃縮液であり、①牛乳の保存性という問題、②輸送費用という経済性の課題、さらに栄養素の不足という3つの課題を解決するものです。
近代では、科学技術の発展により、感覚と伝承でしかなかった発酵を、個々の研究者が理論(仮説)立て、実験を繰り返すテーマに仕上げました。カルピスの二段階発酵は、そんな科学的な模索の中で生まれたアイデアです。
戦前に本格化した微生物研究は、戦後になると大学や企業にも広がります。大学では農学部がその中心になりました。原始的な菌を含む、肉眼では見えない微小な生物、その微生物が、私たち人間の生命を根底から支えてくれています。
微生物研究の成果は無限大
ところで、京都の伏見に、小さな研究所があります。ここは、微生物学の権威で、京都大学の医学博士だった赤澤一三氏が発見した赤澤菌の研究を継承しています。赤澤菌からは、独自の発酵過程によって「Enzamin」が生成されます。 そもそも血栓とは、血管が損傷したとき、血液が凝固して傷口を防ぐ体の防衛機能です。緊急性が高いときには、関係する酵素が分泌され、血液は固まりやすくなります。しかし、その血栓が脳や心臓を塞いでしまうと大変です。脳梗塞や心筋梗塞など、重要な疾患を引き起こす可能性があります。この血栓を溶解する効果が、Enzaminに見つかりました。
Enzaminが酵素に働きかけると、血栓を溶かす方向へ舵を切るのです。 ここで、酵素についても触れておきましょう。近年、「酵素」ドリンクが人気を集めていますが、酵素は、生体内で必要となる様々な化学変化の触媒として働きます。たとえば、生体内で言えば、血栓を作ったり、血栓を溶かしたりするのは、酵素が働いているからです。また、日本の伝統食・味噌は、麹菌が酵素を作り、その酵素が豆のデンプンやタンパク質を分解し続けます。その結果、味噌には旨味や甘味が広がり、あの風味を産み出します。つまり、ある酵素が増えれば、それに紐づく化学変化が促進されるという原理なのです。



「Enzamin」は、これとは異なります。生体内にすでにある酵素の材料に刺激を与え、酵素が生成されやすくなるメカニズムを利用します。そのEnzaminの物性は、熱にも酸にも強く、低分子であることと合わせて考えると、確実に腸まで届き、生理作用へと用いられます。そして、人間の生体内にある酵素を活性化させることによって様々な効果を生み出すことが分かりました。同研究所は、次々と確認される新しい効果に沸き立っています。なぜなら、赤澤博士がこの菌の研究を第三者に手放さず、みずからの息がかかった研究所に託した理由がここにあるからです。
近年、同研究所が発見している新しいエビデンスは目を見張るものがあります。メタボ予防や美容効果の効能がそのひとつです。生成される多糖類が、腸内細菌を通じ、脂肪組織の炎症や代謝異常を改善させ、メタボリックシンドロームを予防するそうです。生体内のほぼすべての化学変化が酵素を起点に始まる以上、その酵素がしっかりと機能するか否かで、体の正常な機能が左右されています。Enzaminは、ここに大きな役割を果たす可能性があるのです。
この日本で発酵食品が普及した理由は、保存食としての利便性にありました。また、栄養を補ってくれる貴重な食べ物でもあります。ただし、その難点は大量の糖や塩を使うことです。その副作用があらたな病の原因にもなりえます。したがって、今日の微生物利用の最大の課題は、副作用を低減させつつ、工夫を重ねて、効果を最大化すること。これこそが、博士の意思を継ぐエンザミン研究所に託された課題だったのかもしれません。
最後に触れておきますが、エンザミン研究所は、研究だけでなく、みずから商品を開発し、製造し、販売を行っています。そのおかげで、消費者の長年の声を収集でき、安全性から効果に至るまで、一定のデータを積み上げています。Enzaminだけではありませんが、微生物に関係する研究はまだまだ発展途上の学問であることも考えると、楽しみはむしろ将来にあるかもしれません。

発酵食品の
謎と可能性
〜微生物から生まれる
「Enzamin」とは〜
私たちの国には、たくさんの発酵食品が存在しています。そんな日本は、世界でも有数の「発酵大国」です。今回は、その秘密を探り、日本人の創み出した発酵有用成分 「Enzamin」 の可能性に迫ります。
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日本人は
なぜ納豆を食べる?
発酵食品は、どの文化圏でも、アルコール(お酒)に始まり、味噌や醤油などの調味料として普及します。一般的に「発酵」とは、微生物の働きによって、人間に有益な作用を生む化学反応のことです。これに対し、人間にとって不利益な作用となる場合は、「腐敗」と呼ばれます。やや乱暴に言えば、発酵と腐敗は同じ現象を指すものであり、要は、人にとって有利か不利かで主観的に判断されるのです。
たとえば、独特な風味をもつ納豆。強烈な臭いが苦手な方もいらっしゃるでしょう。健康に良く、保存性に優れることから、古来より重宝されてきました。一説によれば、平安時代末期の武将・源義家が、納豆の誕生に関与したとされています。義家は「八幡太郎」と称し、武門の棟梁として名を馳せた人物です。彼が奥州合戦に臨む際、煮豆を稲の藁に包み、馬にぶら下げていたところ、馬の体温で発酵が進み、納豆になったという逸話が残されています。納豆を発酵させた菌の正体は、稲藁にいる枯草菌の一種。今日では「納豆菌」と呼ばれています。煮豆中のタンパク質や糖質を栄養源に、納豆菌が繁殖し、あの特有の糸を引く状態になります。納豆には、アミノ酸をはじめとする多数の栄養素が含まれ、消化に優れる発酵食品です。その後の納豆は、義家の知名度も手伝って、武士の世にジワジワと広がっていきました。武士の強靭な体も、発酵した豆のタンパク源があったからこその賜物と言えるかもしれません。

さて、この発酵食品は、微生物を活用した食品です。もともと私たち生物の体は、腸内にもたくさんの細菌を住み着かせ、消化吸収の役割を託しています。納豆菌は、腸内で行われるはずだった分解作業の一部を、体の外で行ったものと理解すればいいでしょう。そのおかげで、栄養素が腸に届いたときには、消化吸収しやすくなっている、というわけです。しかも納豆菌が先に繁殖すると、他の菌を寄せ付けなくなるので、結果的に腐敗を防ぎ、長期保存を可能にする点でも大きなメリットです。

発酵食品は微生物を活用した食品で、栄養素が腸に届いたときは消化吸収しやすくなっている。
日本の伝統に貢献
日本人は、こうして納豆を重宝するようになり、江戸時代の末期には、「からすの鳴かぬ日はあれど、納豆売りの来ぬ日はなし」と言われるほど民衆の間に普及しました。長らく、油や火を使った料理が少なかった日本人にとって、発酵食品は栄養素を補う重要な食品でした。
現代では、発酵食品に関する研究、すなわち微生物研究が盛んに行われています。微生物の数は非常に多く、人の腸内だけで1000種類を越えると言われます。有望な菌を探す試みは、まるで広大な宇宙から星を探すような気の遠くなる作業です。むしろ、個々の菌との出会いを大事にすべきかもしれません。
日本の食文化にとって欠かせないのは、麹菌や乳酸菌です。麹菌はカビの一種で、糸状の構造を持ち、味噌、醤油、みりん、米酢、甘酒、日本酒、焼酎、漬け物など、日本の伝統的な発酵調味料の製造に広く利用されています。他方、乳酸菌も、ヨーグルトやチーズの代名詞のようになっていますが、日本では伝統的な漬物製造に活躍します。その乳酸菌は、塩分が多く、酸素の乏しい、そして低温という過酷な環境で、優位性に働くことができます。いずれにしても、多湿の日本は、麹菌や乳酸菌にとって生育に適した環境であり、長い歳月をかけ、伝統的な発酵技術を育んできました。

多湿の日本では、麹菌や乳酸菌の生育に適しており、伝統的な発酵技術を育んできました。
「カルピス」という発明
カルピスは、日本の近代が産み出した、代表的な発酵飲料です。「カル」という名は、当時の日本人に不足していたカルシウムを補う意図が込められています。そもそも、カルピスが登場した頃の日本は、昭和初期で、日本人には牛乳を飲む習慣がありませんでした。
カルピスは保存に優れる濃縮液であり、①牛乳の保存性という問題、②輸送費用という経済性の課題、さらに栄養素の不足という3つの課題を解決するものです。
近代では、科学技術の発展により、感覚と伝承でしかなかった発酵を、個々の研究者が理論(仮説)立て、実験を繰り返すテーマに仕上げました。カルピスの二段階発酵は、そんな科学的な模索の中で生まれたアイデアです。
戦前に本格化した微生物研究は、戦後になると大学や企業にも広がります。大学では農学部がその中心になりました。原始的な菌を含む、肉眼では見えない微小な生物、その微生物が、私たち人間の生命を根底から支えてくれています。

微生物研究の成果は
無限大
ところで、京都の伏見に、小さな研究所があります。ここは、微生物学の権威で、京都大学の医学博士だった赤澤一三氏が発見した赤澤菌の研究を継承しています。赤澤菌からは、独自の発酵過程によって「Enzamin」が生成されます。 そもそも血栓とは、血管が損傷したとき、血液が凝固して傷口を防ぐ体の防衛機能です。緊急性が高いときには、関係する酵素が分泌され、血液は固まりやすくなります。しかし、その血栓が脳や心臓を塞いでしまうと大変です。脳梗塞や心筋梗塞など、重要な疾患を引き起こす可能性があります。この血栓を溶解する効果が、Enzaminに見つかりました。
Enzaminが酵素に働きかけると、血栓を溶かす方向へ舵を切るのです。 ここで、酵素についても触れておきましょう。近年、「酵素」ドリンクが人気を集めていますが、酵素は、生体内で必要となる様々な化学変化の触媒として働きます。たとえば、生体内で言えば、血栓を作ったり、血栓を溶かしたりするのは、酵素が働いているからです。また、日本の伝統食・味噌は、麹菌が酵素を作り、その酵素が豆のデンプンやタンパク質を分解し続けます。その結果、味噌には旨味や甘味が広がり、あの風味を産み出します。つまり、ある酵素が増えれば、それに紐づく化学変化が促進されるという原理なのです。

この日本で発酵食品が普及した理由は、保存食としての利便性にありました。また、栄養を補ってくれる貴重な食べ物でもあります。ただし、その難点は大量の糖や塩を使うことです。その副作用があらたな病の原因にもなりえます。したがって、今日の微生物利用の最大の課題は、副作用を低減させつつ、工夫を重ねて、効果を最大化すること。これこそが、博士の意思を継ぐエンザミン研究所に託された課題だったのかもしれません。
最後に触れておきますが、エンザミン研究所は、研究だけでなく、みずから商品を開発し、製造し、販売を行っています。そのおかげで、消費者の長年の声を収集でき、安全性から効果に至るまで、一定のデータを積み上げています。Enzaminだけではありませんが、微生物に関係する研究はまだまだ発展途上の学問であることも考えると、楽しみはむしろ将来にあるかもしれません。

